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横浜に生まれ、横浜で戦う——乙坂智、地元の星の粘りの物語

乙坂智(野球選手)の写真

これほど絵に描いたような「ご当地ヒーロー」も珍しい。乙坂智は1994年1月6日、神奈川県横浜市に生まれた。そしてプロ野球選手として、その横浜の球団でプレーしてきた。生まれ育った街のチームのユニフォームを着る——脚本があったとしても、これ以上きれいな筋書きは書けないだろう。

182センチの恵まれた体格を持つ左バッターであり、外野手。数字だけ並べれば、いかにもスター候補の体つきだ。

けれど、彼を語るうえで本当に大事なのは身長でも肩書きでもない。レギュラーと代打のあいだを行き来しながら、それでも腐らずに自分の役割を探し続けてきた、その粘りのほうだ。

地元のユニフォームを着るということ

横浜という街で生まれ、その街の球団でプロになる。言葉にすると簡単だが、これは多くの選手が憧れても叶わない巡り合わせだ。地元のファンにとって、乙坂智は「自分たちの街から出た選手」という、特別な親しみを持って語られる存在になった。

ご当地ヒーローには、華やかな期待がついて回る。だが彼が背負ってきたのは、その期待を派手な数字で返すスター街道ではなかった。もっと地味で、もっとしぶとい道だった。

レギュラーと代打のあいだで

プロ野球の世界で、立ち位置が固定されない選手の苦労は大きい。ある時はレギュラーとして先発し、ある時は代打の一打席に賭ける。出番が読めず、コンディションを保つのも難しい。役割をコロコロ変えられれば、心が折れてもおかしくない。

乙坂智が貴重なのは、そこで腐らなかったことだ。出番が来たらバット一本でなんとか結果を出したろ——その不器用なくらいの真面目さで、彼は自分の居場所を球団の中に作り続けてきた。派手ではないが、確かな存在感だ。

チームの土台になる男

野球というスポーツは、どうしてもホームランや打率といった派手な数字に光が当たる。だが、どんなチームにも、目立たないところで踏ん張る選手が必要だ。代打で流れを変え、守備で穴を埋め、ベンチで雰囲気を支える。そういう役割を地味にこなす男こそが、チームの土台になる。

乙坂智は、まさにそのタイプの選手だ。スターの輝きとは別の種類の価値——粘りと真面目さでチームを下から支える価値を、彼は体現してきた。

派手な数字ばかりが注目される世界で、地味に踏ん張り続ける選手の存在は、見落とされがちだ。けれど、そういう男がいなければチームは成り立たない。

横浜に生まれ、横浜で戦った地元の星。これからも、しぶとく野球を続けてほしい——そう願いたくなる、誠実な物語の持ち主である。