celeb-db
English

低く、煙るような声――今市隆二という芯

今市隆二(歌手)の写真

ステージの照明が落ち、最初の一音が放たれる。低く、わずかにかすれ、煙のように耳にまとわりつくその声。今市隆二が歌い出した瞬間、ざわついていた空気がふっと締まり、何千という視線が一点に吸い寄せられる。

三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBE。日本のダンス&ボーカルシーンを牽引してきたこのグループにあって、彼はバンドの呼吸を一瞬で整えてしまう存在だ。派手な振り付けでも軽快なポップでもない、ただ声そのもので場の重心を変えてしまう。

1986年9月2日、京都府生まれ。多くを語らず、私生活の大半を非公開のままにしているこの歌手の魅力は、結局のところ、その声と佇まいに尽きる。

京都が育てた静かな色気

今市隆二は1986年9月2日、京都府に生まれた。乙女座、干支は寅。古都の生まれと聞くと、彼のまとう少し翳のある落ち着きや、どこか掴みどころのない大人びた色気に、妙に納得してしまう人は多いだろう。

派手に自分を売り込むタイプではない。プロフィールの欄を見れば、身長も血液型も、出身校も家族構成も、ほとんどが「非公開」で埋まっている。情報を切り売りしない代わりに、ステージという最も雄弁な場所で自分を語る――そういう生き方を選んだ歌手だ。

ボーカリストとしての存在感

三代目J SOUL BROTHERS from EXILE TRIBEのボーカルとして、彼は日本のR&B/ダンスボーカルの一翼を担ってきた。グループには卓越したパフォーマーが揃うが、今市隆二が前に立つと、楽曲はぐっと体温を帯び、ソウルフルな陰影を増す。

J-POPのフロントマンとしては、ほとんど反則と言っていいほど深く、土の匂いのする歌い方をする。軽やかさで押し切るのではなく、低音の重みと余白で聴かせる。だからこそ、彼が歌い出すと舞台全体のピントが合う。

クールと、ふいの笑顔

照明の下では、触れがたいほどクールだ。表情を崩さず、視線も鋭い。ところが、ふとした瞬間に少年のような屈託のない笑顔がこぼれる。その落差こそが、今市隆二という人をただの「渋い歌い手」で終わらせない。

完璧に作り込まれた近寄りがたさと、素のあどけなさ。この二つが同居しているから、ファンは彼から目が離せない。強面の仮面が一瞬で溶ける、その瞬間を見たくて、人は何度でも彼のステージへ足を運ぶ。

ブレない自分のスタイル

歌においても、ファッションにおいても、今市隆二には確固たる「自分」がある。流行に流されるのではなく、自分が良いと信じたものを貫く。その芯の太さは、長く第一線に立ち続ける表現者に共通する強さだ。

公式プロフィールはグループのサイトに掲載され、InstagramやXでも活動を続けている。多くを語らずとも、発信する一つひとつに彼らしい美意識が滲む。

あの声をスッと出されたら、もうそれだけで耳がほどけてしまう。京都が育てた静かな色気、舞台で見せるクールさ、そしてふいにこぼれる笑顔。今市隆二は、自分のスタイルをブレずに貫くことで、声だけで物語を語れる稀有な歌手であり続けている。

語られないことが多いからこそ、彼の歌はいっそう雄弁だ。次のステージで放たれる最初の一音を、また誰かが息を止めて待っている。