celeb-db
English

甲子園を揺らす男――佐藤輝明、夢を売る長距離砲の罪

佐藤輝明(野球選手・プロ野球選手)の写真

当たれば豪快、外れば扇風機。佐藤輝明という打者ほど、観る者の感情を激しく揺さぶる選手も珍しい。一振りで甲子園を地鳴りのように沸かせるかと思えば、次の打席ではバットが空を切り、思わずズッコケそうになる。

1999年3月13日生まれ。近畿大学から阪神タイガースへと進んだこの長距離砲は、ハマったときの飛距離がもう冗談のようだ。ロマンと危うさを同時に背負い、阪神ファンの心を掴んで離さない――そんな男の物語である。

仁川学院から近畿大学へ

佐藤輝明は、兵庫県の仁川学院高等学校から近畿大学へと進んだ。関西で力を蓄え、やがてプロの世界へと羽ばたいていく。

大学野球の名門で鍛え上げられた長打力は、プロ入り前からすでに評判だった。豪快なスイングと、サードから繰り出す矢のような送球――攻守両面で人目を引く素材として、彼は早くから注目を集めていた。

当たれば伝説、その飛距離

佐藤の最大の魅力は、なんといってもその飛距離である。バチコーンと芯で捉えれば、打球はライナーのままスタンドへぶち込まれる。低い弾道のまま客席まで届くその一発は、長距離砲というよりも、ほとんど砲弾のようだ。

その一発が出た瞬間、甲子園は地鳴りのようにドオッと沸く。観客のため息が歓声に変わるあの瞬間こそ、佐藤輝明という選手が存在する意味そのものだと言ってもいい。

扇風機と呼ばれても

もっとも、彼の打席はいつも夢のような結末を迎えるわけではない。空振りした日には、まるで扇風機のようにバットがブンブンと回り、見ている側がズッコケそうになることもしばしばだ。

しかし、それでも阪神ファンは彼を見限らない。なぜなら、三振の山を築いた直後の打席で、突然あの豪快な一発を放ってしまうからだ。失敗の記憶を一瞬で塗り替える、その振れ幅の大きさこそが佐藤輝明の魅力であり、同時に厄介さでもある。

サードからの「どや顔」

彼の魅力はバッティングだけにとどまらない。守備でも、サードから一塁へとビュンッと矢のような送球を決めてみせる。その強肩は、打撃の派手さに負けないインパクトを持っている。

そして好プレーのあとに見せる、あの少し得意げな表情。憎まれ口を叩きたくなるような「どや顔」なのに、なぜか憎めない。プレーの豪快さと表情の愛嬌が同居しているところに、彼の人間味がにじむ。

三振しようが、エラーしようが、次の打席でまた夢を見せてしまう。佐藤輝明とは、そういう罪な男だ。安定とは少し違う場所に立ち、いつも観客を一喜一憂させ続ける。

だからこそ、ファンは彼から目を離せない。次の一振りはどうなるのか――その期待と不安が入り混じった一瞬を味わうために、人々は今日も甲子園に足を運ぶ。テルくんが打席に立つたび、球場はまた夢を見るのだ。