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十四歳の天才と「ひふみん」の笑顔——加藤一二三という生き方

加藤一二三(棋士)の写真

名前からして、もう将棋のためにあるようだ。加藤一二三——「一二三」と書いて「ひふみ」と読むその名は、盤上に駒を並べるために生まれてきたかのように出来すぎている。

1940年元日に生まれた彼は、わずか14歳でプロの棋士となった。多くの人が中学校の日々をどう生き延びるかでせいいっぱいの年齢で、彼はすでに盤を挟んで大人たちと真剣勝負を繰り広げていた。それから数十年、最高峰の舞台で戦い続けた。

しかし、加藤一二三を語るとき忘れてはならないのは、その壮絶な勝負師の顔と、対局を終えた瞬間に浮かぶあの「ひふみん」の笑顔とのギャップである。

十四歳のプロ

加藤一二三が将棋のプロになったのは14歳。この一点だけで、彼が並の人間でないことがわかる。同じ年頃の子どもがまだ遊びや学校生活に明け暮れている時期に、彼は盤の前で、人生をかけて読みを重ねる大人たちと互角に渡り合っていた。

天才という言葉は安易に使われがちだが、この経歴の前ではその言葉さえ軽く感じられる。早熟というだけでなく、その後数十年にわたって第一線で戦い続けたという持続性こそが、彼の本物の凄みである。

長考の鬼

盤上の加藤一二三は、別人のように見える。ぐっと唸り、長い時間をかけて手を読み続けるその姿は、鬼気迫るものがあった。長考——盤の前で延々と考え抜くその集中力は、彼の代名詞のひとつだった。

真剣勝負の世界で、妥協なく最善手を探し続ける。その姿勢こそが、彼を最高峰へと押し上げ、数々の栄誉へとつなげていった。盤の前の彼は、笑顔とは無縁の、ひたすらに厳しい勝負師だった。

盤外の「ひふみん」

ところが、対局が終わって盤の外に出た瞬間、加藤一二三の表情は一変する。あのニッコニコの笑顔。よくしゃべり、よく笑い、よく食べる——テレビで愛され、「ひふみん」という親しみのある愛称で広く知られるようになった。

盤上の張り詰めた鬼と、盤外の人懐っこいおじいちゃん。この振れ幅の大きさが、人々を惹きつけてやまない。引退後はテレビタレントとしても活躍し、長年の真剣勝負を戦い抜いた人物とは思えないほどの、屈託のない明るさを見せ続けている。

数々の栄誉

加藤一二三が受けてきた栄誉は、その生涯の重みを物語る。2000年に紫綬褒章、2018年には旭日小綬章。1977年の将棋栄誉賞、1982年の将棋栄誉敢闘賞といった棋界の表彰に加え、2022年には文化功労者にも選ばれた。

これらの勲章は、彼が将棋という文化に残してきた功績の大きさを公的に証明している。だが、それらすべてを並べてもなお、彼の本当の値打ちはもう一つ別のところにあるように思える。

紫綬褒章も、文化功労者の称号も、もちろん見事だ。だが、何十年もの間、一切の妥協を許さない真剣勝負を続けてきた人が、最後まで人懐っこい笑顔のままでいられること——その生き方そのものが、どんな勲章にも勝る値打ちなのではないか。

十四歳の天才は、年を重ねてなお、誰よりもチャーミングなおじいちゃんであり続けている。加藤一二三という人の魅力は、その揺るがない笑顔の中にこそ宿っている。