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旭川から世界の頂へ——179センチの「ジャイアントベイビー」が槍を放つとき

北口榛花(スポーツ選手・陸上競技選手)の写真

北海道・旭川。雪深いこの街から、世界の頂点へ槍を放った女性がいる。北口榛花(きたぐち はるか、1998年3月16日生まれ)。179センチの長身からしなやかに振り抜かれる一投は、長く欧州勢の独壇場だった女子やり投の世界地図を、確かに塗り替えた。

けれど、彼女の魅力は記録だけにあるのではない。勝った瞬間に見せる、子どものように無邪気な満面の笑み。インスタグラムのアカウント名は「ジャイアントベイビー」。自分の長身さえ笑いに変えてしまう肩の力の抜け方が、多くの人を惹きつけてやまない。

旭川という出発点

北口榛花は1998年3月16日、北海道旭川市に生まれた。旭川といえば、冬の厳しさで知られる土地。投てき競技、とりわけやり投げは、長い助走と全身のバネを使う、体格とリズムが物を言う種目である。

北海道旭川東高等学校に進み、その後は日本大学へ。179センチという恵まれた体格は、彼女の大きな武器となっていく。だが、長身であることは、それだけで勝利を約束するわけではない。槍を遠くへ運ぶには、その身体を一本の鞭のようにしならせる技術と、何より反復の積み重ねが要る。

世界地図を塗り替える

女子やり投は、長らく欧州を中心とした国々が強さを誇ってきた種目だ。アジアの、まして日本の選手が世界の最上位を争うという光景は、かつては想像しにくいものだった。

その常識を、北口榛花は自らの一投で覆していった。投てき種目で日本の女子が世界の頂点に立つ——それは、彼女のファンを公言する人々が「生きているうちに見られるとは思わなかった」と漏らすほどの出来事だった。スケールの大きさが、競技の枠を超えて人々の記憶に刻まれていく。

「ジャイアントベイビー」の素顔

記録だけを見れば、彼女は近寄りがたい強さの持ち主に思える。だが実際の北口榛花は、まるで近所のお姉ちゃんのような親しみやすさをまとっている。

その象徴が、勝利の瞬間に弾ける、あのニカーッとした笑顔だ。緊張感の張りつめた大舞台で、勝ったとたんに無邪気に破顔する姿は、見ているこちらまでつられて笑ってしまう。インスタグラムの名前を「ジャイアントベイビー」とし、自分の長身を誇示ではなくユーモアに変えてしまうセンス。槍は誰よりも遠くへ飛ばすのに、人柄はどこまでも気取らない。この振れ幅こそ、彼女がこれほど愛される理由だろう。

雪国・旭川から放たれた一本の槍は、世界の地図を書き換え、日本の投てきの歴史に新しい一行を加えた。だが彼女が残しているのは記録だけではない。勝負の世界に生きながら、勝った瞬間に子どものように笑える、その軽やかさだ。

遠くまで槍を飛ばす力と、近所のお姉ちゃんのような親しみやすさ。そのギャップの中にこそ、北口榛花という人の本当の魅力がある。