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土俵を歩いて押し切る男——大の里泰輝、最速の横綱

大の里泰輝(力士・横綱)の写真

相撲は、本来ゆっくりとした世界だ。何年もかけてコツコツと番付を上げ、勝ち越しと負け越しを積み重ねながら、ようやく上へとたどり着く。そういう「我慢の競技」だと、長く信じられてきた。

ところが、大の里泰輝はその常識を軽々と飛び越えていった。あれよあれよという間に番付を駆け上がり、気づけば横綱——相撲界の最高位に立っていた。見ているこちらが思わず「え、もう?」と二度見してしまうほどの速さで。

北陸の真面目が、体に染みている

2000年6月7日、石川県河北郡に生まれた。日本海に面した北陸の地である。雪深く、派手さよりも辛抱と勤勉を尊ぶ土地柄——その空気が、大の里という力士の佇まいにそのまま染み込んでいるように見える。

地味でも、コツコツと前へ。北陸の人々が大切にしてきたその気質は、土俵の上の彼の相撲にも通じている。華やかな技で魅せるというより、まっすぐ前へ出て押し切る。育った土地の記憶が、力士としての芯になっているのだ。

193センチ、前へ前へ

身長193センチ。土俵の上では、その巨体そのものが武器になる。立ち合いから前へ前へとグイグイ押し込み、相手に体勢を立て直す隙を与えない。小細工の少ない、ある意味で潔い相撲だ。

正面からこの圧力を受ける相手は、たまったものではないだろう。逃げ場のない押し相撲を、若い力でぶつけてくるのだから。土俵の隅で踏ん張る泥くさい顔つき——その粘りこそが、彼の相撲の見どころでもある。

横綱という肩書きの、その先

辰年生まれの双子座。まだ若く、これから先の伸びしろは計り知れない。横綱という最高位にすでに立ってはいるが、彼の魅力は肩書きだけにあるのではない。

土俵際でグッと踏ん張る、あの泥くさい表情。勝負を投げない粘り。そこにこそ、多くのファンが惹きつけられる。これからどこまで強くなるのか——その問いの答えは、まだ誰にも分からない。だからこそ、目が離せない。

大の里泰輝について公開されている事実は、まだ多くない。けれど、193センチの巨体で前へ押し切る相撲と、北陸育ちの真面目さ、そして史上最速級で横綱まで駆け上がったという事実——それだけで、一人の若き力士の輪郭は十分に鮮やかだ。

若い横綱が、これからどんな土俵を見せてくれるのか。その続きを楽しみに待ちたい。