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言葉で世界を斬る男――太田光という「考えるコメディアン」

太田光(お笑いタレント・声優)の写真

お笑いという土俵で、これほど危ない橋を平気で渡り続ける人もそういない。太田光。爆笑問題のボケ担当として、相方の田中裕二をひたすらイジり倒す軽口の名手でありながら、その口は同時に政治や社会の核心へと躊躇なく突っ込んでいく。

笑いの場で本音を言う。それも、たいていの人が口をつぐむ場面でこそ言う。彼の話芸を見ていると、こちらが思わず息を呑む瞬間が何度も訪れる。それでも本人はメガネの奥でニヤリと笑うだけだ。

1965年5月13日、埼玉県ふじみ野市生まれ。お笑いタレント、声優、そして映画監督。肩書きを並べただけでは到底つかみきれない、ひとりの「喋る知性」の輪郭をたどってみたい。

埼玉から来た、口の達者な男

太田光は1965年、埼玉県ふじみ野市に生まれた。身長170センチ。星座は牡牛座、干支は巳。プロフィールの多くは公にされていないが、彼を語るうえで出自の細目はさほど重要ではない。重要なのは、彼が「言葉の人」であるという一点に尽きる。

爆笑問題というコンビにおいて、太田はボケを担う。だが彼のボケは、いわゆる定型のギャグとは少し質が違う。次々と言葉を繰り出し、相方を、世間を、時に権威そのものを的にして撃ち抜いていく。その語数の多さ、回転の速さは、聞く者を圧倒する。

笑いと社会のあいだで

太田の真骨頂は、お笑いの枠におさまらないところにある。バラエティの場でありながら、政治や世の中の問題をズバズバと斬っていく。攻めてはいけないとされる領域にまで、彼は平然と踏み込んでいく。

その姿勢は、見ている側をヒヤヒヤさせる。だが同時に、ただ騒いでいるだけではない手応えがある。彼の言葉には、しっかりと考え抜かれた芯が通っている。挑発と本音が分かちがたく溶け合った、独特の語りなのだ。

声優、そして映画監督として

太田の表現の幅は、しゃべりの芸だけにとどまらない。声優として声を当て、さらには映画監督として作品まで撮る。コメディアンが映像作品を自ら手がけるというのは、決して当たり前のことではない。

これらの活動は、彼が単なる「騒がしい人」ではないことを物語っている。頭の中にぎっしりと言葉と思考を詰め込んだ人間が、その出口をいくつも持っているということだ。喋りで足りなければ声で、声で足りなければ映像で、彼は表現し続ける。

ワルガキが大人になったような

太田光という人物の魅力は、その聡明さと、決して取り澄まさない態度の同居にある。明らかに頭が切れるのに、上品ぶろうとしない。むしろワルガキがそのまま大人になったような、いたずらっぽい顔で言葉のシャワーを浴びせ続ける。

しつこいくらいの饒舌。だがそのしつこさが、なぜか嫌いになれない。語り尽くしてもなお止まらない、その尽きない言葉の泉こそが、太田光という芸人の正体なのかもしれない。

喋らせたら止まらない埼玉のオッサン。その言葉は時に危うく、時に鋭く、そして常に考え抜かれている。お笑いという軽やかな仮面の下に、ぎっしりと詰まった知性を隠し持つ男。

太田光が次にどの橋を渡り、どの言葉を放つのか。読書家であり映画監督でもあるこの「考えるコメディアン」から、私たちはこれからも目を離せそうにない。