甘いマスクの裏側——岡田将生という二面性の俳優

最初は、モデル上がりの背の高いイケメン枠だと思っていた。181センチのスラリとした体躯、爽やかな顔立ち。そういう「見た目で売る」タイプなのだろうと、勝手に決めつけていた。
ところが、フタを開けてみればまるで違った。岡田将生という俳優は、芝居が驚くほど達者で、しかも甘い顔のままスッと不気味な領域へ踏み込んでくる。爽やかさと不穏さを同じ表情で行き来できる——そんな役者は、そうそういない。
江戸川区から始まった物語
岡田将生は1989年8月15日、東京都江戸川区に生まれた。俳優、テレビ俳優、ナレーター、モデル、そして歌手と、その活動は一つの枠に収まらない。181センチという恵まれた体格は、モデルとしても俳優としても大きな武器になった。
爽やか〜な役をやらせれば抜群にハマる。そういう「正統派」の魅力を備えた人物として、彼はキャリアの扉を開いた。けれど、彼の本当の面白さは、その先にあった。
デビュー直後の快挙
岡田将生の名を業界に強く印象づけたのは、デビューして間もない時期の受賞ラッシュだった。2009年に日刊スポーツ映画大賞新人賞、2010年にブルーリボン賞新人賞、同じく2010年にエランドール賞新人賞。新人に贈られる賞を、立て続けにかっさらっていったのである。
これだけの賞が一気に集まったということは、業界の人々が早い段階で気づいていたということだ。「コイツはただのイケメンではない」と。見た目だけで評価されたのではない、確かな演技力がそこにあった。
ドロッと暗い役で見せる凄み
彼の出演作を並べると、その振れ幅の大きさに驚かされる。『重力ピエロ』『ホノカアボーイ』『ハルフウェイ』『僕の初恋をキミに捧ぐ』といった作品から、『悪人』『告白』のような重く暗い物語まで。
特に後者のような役になった途端、岡田将生は急に背筋をゾワッとさせる二面性を見せつけてくる。甘いマスクのまま、しれっと怖い芝居をしてのける。爽やかと不気味のあいだを同じ顔でスッと行き来する——この反則級のギャップこそが、彼を唯一無二の存在にしている。
決めつけを裏切る俳優
「モデル出身のイケメン俳優」という言葉には、どこか侮りが含まれがちだ。だが岡田将生は、その先入観を毎回きれいに裏切ってくる。爽やかな役で安心させておいて、暗い役で背筋を凍らせる。
甘いマスクの裏に、しれっと怖い芝居が潜んでいる。観る側はそのギャップに、毎回まんまとやられてしまう。彼の芝居が信頼に足るのは、表面の魅力に頼らず、役の奥へ深く潜っていくからだ。
背が高くて顔がいい。それだけで終わるはずだった俳優が、賞を総なめにし、暗い役で凄みを見せ、爽やかと不気味を自在に行き来する表現者になった。
岡田将生という俳優の魅力は、その二面性にこそある。甘い顔の奥に隠された、ひやりとする芝居。次にどんな顔を見せてくれるのか——その予測のつかなさが、彼から目を離せなくさせる。