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その声を、あなたはきっと聴いている——声優・梶裕貴という存在

梶裕貴(声優・歌手)の写真

ここ十数年、アニメを観たことがある人なら、知らず知らずのうちにこの人の声を聴いているはずだ。1985年9月3日、東京に生まれた梶裕貴は、いまや声優界を語るうえで欠かせない名前のひとつになっている。

少年役をやらせれば右に出る者がいない。だが彼の真骨頂は、明るくみずみずしい声だけではない。ひとたび感情が燃え上がれば、腹の底からブワッと噴き上がるような叫び。その振り幅こそが、彼の演じる場面を二倍にも三倍にも響かせる。

歌い、ナレーションを務め、何でも器用にこなす。それでいて本人はどこか飄々としている。その肩の力の抜け具合が、また憎らしいほどに良い声なのだ。

東京から、声の世界へ

梶裕貴は1985年、東京に生まれた。埼玉県立坂戸高等学校に通った高校時代を経て、声優の道へと進んでいく。

声だけで人物を立ち上げ、感情を伝え、物語を動かす——声優という仕事は、姿が見えないぶん、声に宿る表現力がすべてを決める。梶裕貴は、その厳しい世界で頭角を現していくことになる。

駆け上がった階段

2009年、梶裕貴は声優アワードの新人男優賞を受賞する。業界の登竜門ともいえるこの賞を手にしたとき、彼のキャリアは大きく動き出した。

そして驚くべきはそのスピードだ。新人賞を獲ったかと思えば、2013年と2014年には主演男優賞を二年連続で受賞。さらに東京アニメアワードにも名を連ねている。階段を駆け上がる速さに、見ているこちらが息切れするほどだった。新人から主役へ。その道のりを、彼はあっという間に駆け抜けた。

少年役の名手、そして

梶裕貴といえば、熱く真っ直ぐな少年役の名手として知られる。フレッシュで芯のある声は、若い主人公の役にぴたりとはまる。

だが彼の凄みは、その明るさの裏にある激しさだ。静かな場面では繊細に、感情が爆発する場面では喉の奥から叩きつけるように。同じセリフでも、彼が言うと、なぜこんなにも刺さるのか。多くの人が抱くその不思議さこそ、梶裕貴という声優の証明だ。

声優、歌手、語り手として

梶裕貴の活動は、キャラクターを演じることにとどまらない。歌手として歌い、ナレーターとして語る。声を使うあらゆる仕事を、彼は器用にこなしてきた。

ひとつの声に、これだけの引き出しがある。少年の叫びも、静かな語りも、歌声も。その幅広さが、彼を声優界の第一線に長く居させている理由だろう。

新人賞から主演男優賞二年連続へ。その階段を軽やかに駆け上がりながら、本人はどこまでも飄々としている。肩の力が抜けているのに、出す声はいつも的確で、深く刺さる。

その声を、あなたはきっとどこかで聴いている。気づいていなくても、心のどこかに残っている。梶裕貴とは、そういう声の持ち主だ。