声で泣かせ、歌で唸らせる。楠木ともりという欲張りな才能

声優として芝居ができて、しかも自分で詞も曲も書いてしまうシンガーソングライター。そんな話を聞くと、欲張りセットすぎないか、と思わずつぶやきたくなる。
けれど楠木ともりは、その二つをどちらも地に足をつけてやり切ってみせる。1999年12月22日、東京都に生まれた彼女は、見た目の儚さに反して、芯がめっぽう太い。声で人を泣かせ、歌で人を唸らせ、こちらの感情を右へ左へ振り回してくる表現者である。
東京生まれの、儚さと芯の同居
楠木ともりは1999年12月22日、東京都に生まれた。星座は山羊座、干支は卯。身長は155センチ。
第一印象は、どこか繊細で儚げだ。けれどその印象は、内側に秘めた芯の太さを大きく裏切っている。表現に向かうときの彼女には、見た目からは想像できない強さがある。
早すぎた新人女優賞
彼女は2019年、声優アワードの新人女優賞を受賞した。デビューからわりとすぐの受賞であり、これは業界が早い段階から彼女の実力に気づいていたことの証である。
「この子はホンマモンや」。そう周囲が早々に確信したからこその受賞だろう。若くして得たこの評価は、その後の活動の確かな土台になっている。
声優と、シンガーソングライターと
アニメのキャラクターに命を吹き込む声の引き出しと、自分の内側からこぼれ出てくる音楽。楠木ともりは、その両方を兼ね備えている。声優であり、同時にシンガーソングライターでもあるのだ。
しかも、ただ歌うだけではない。詞も曲も自分で書く。借り物ではない、自分の言葉とメロディで表現する。芝居と音楽、その二つが互いを食い合うのではなく、互いに養分を与え合っているように見える。
表現の引き出しの、深さ
ひとつの役を読むだけで人を泣かせ、ひとつの歌で人の胸を締めつける。彼女の表現は、聴く側の感情を自在に揺らす。
ひとつのレーンに収まることを拒む表現者は、それだけで強い。声で泣かせて、歌で唸らせて、こちらをすっかり転がしてしまう。その引き出しがどれほど深いのか、まだ底は見えていない。
1999年生まれの彼女には、まだ長い助走路が残されている。表現の引き出しがどこまで深いのか、これからどこまで化けていくのか。
声で泣かせ、歌で唸らせるこの欲張りな才能が、次にどんな表情を見せるのか。こっそりと、しかし確かな期待を込めて、その行方を見守りたい。