青森の冬を抱えて投げる——種市篤暉という辛抱の右腕

「青森から出てきた183センチの右腕」。それだけ聞けば、野球好きなら誰でも少し前のめりになる。きっと速い球を放るに違いない、と。
種市篤暉は、その期待をマウンドの上でちゃんと裏切らないタイプの投手だ。力でねじ伏せにいくストレートと、鋭く落ちるフォーク。派手に騒ぐわけではないが、淡々と自分の球を磨いていく姿に、応援したくなる何かがある。
これは、北国生まれの不器用なほど真面目な男が、故障を乗り越えてマウンドに立ち続ける物語だ。
青森から出てきた右腕
種市篤暉は1998年9月7日、青森県に生まれた。八戸工業大学第一高等学校で野球に打ち込み、183センチという恵まれた体格を持つ右腕として頭角を現していく。
雪深い北国で育った投手というだけで、どこか辛抱強さを感じさせる。派手な土地ではないからこそ、コツコツと積み上げる職人気質が育つのかもしれない。種市は、まさにそういう空気をまとった選手だった。
力でねじ伏せる球
マウンドに立った種市の魅力は、なんといってもその球のパワーだ。力強いストレートで打者を押し込み、そこに鋭く落ちるフォークを織り交ぜる。直球と落ちる球の落差は、見ていて気持ちがいいほどである。
小細工で抑えるのではなく、自分の持ち球の質で勝負する。そのまっすぐな投球スタイルは、彼の人柄そのものを映しているようでもある。
故障という壁
順調に思えたキャリアには、しかし大きな試練が待っていた。肘を故障し、長い離脱を余儀なくされたのだ。これだけの球を持つ投手がマウンドを離れる時間は、ファンにとっても歯がゆいものだった。
「もったいない」。そう感じた人は少なくないだろう。だが種市の物語が本当に始まるのは、ここからだったのかもしれない。
這い上がる粘り強さ
故障から戻り、種市は再びマウンドに立ち、投げ続けている。何より胸を打つのは、その粘り強さだ。一度沈んでも、また這い上がって自分の球を取り戻していく。
派手な復活劇というより、地道に積み重ねて戻ってくる。そのスタイルは、青森の冬を耐え抜くような辛抱強さと、どこか重なって見える。
ワイが種市篤暉に一番グッとくるのは、球の速さよりも、その粘り強さだ。不器用なくらい真面目に、自分の球を磨き続ける職人気質。ああいう男は、どうしても応援したくなる。
青森の冬みたいに辛抱強く、そして最後にドカンとくる球を投げ続けてほしい——そんなことを勝手に期待させてくれる右腕である。