celeb-db
English

四つの入口から愛される男――草川拓弥、子役から始まる回り道

草川拓弥(俳優・子役)の写真

ある人にとって彼は、歌う人だ。ステージの中央でマイクを握り、観客の熱量を一身に受け止めるボーカリスト。別の人にとっては、客席の暗がりから息を呑んで見つめる舞台俳優であり、また別の人にとっては、平日の夜にテレビ画面の向こうで芝居をするドラマの役者である。

草川拓弥という人物が面白いのは、これらが「副業」と「本業」の関係になっていないところだ。歌も、舞台も、二・五次元も、ドラマも、どれもが本物の温度を持っている。それぞれの世界のファンが、まったく別の入口から彼を見つけ、それぞれの「草川拓弥」を好きになっていく。

1999年11月24日、東京都目黒区に生まれた彼は、子役として現場に立つところから、その回り道の長い旅を始めた。

子役という原点

草川拓弥の経歴をたどると、出発点が「子役」であったことに行き当たる。まだ幼い時分から撮影現場やセットに立ち、大人たちに混じって芝居をする――その経験は、後の彼の表現に静かに、しかし確実に染み込んでいくことになる。

子役出身の表現者には、しばしば独特の「現場慣れ」がある。カメラの前で緊張しすぎないこと、与えられた役の中で自分を立たせること、長い待ち時間を含めた現場の空気を当たり前のものとして受け入れること。これらは、大人になってから学ぶには難しい身体感覚であり、幼い頃から染みついた者だけが持つ強みである。

歌う人としての顔

俳優としての歩みと並行して、草川拓弥は音楽家としての顔も持つ。ボーカリストとしてステージに立ち、観客と向き合う彼の歌いぶりには、年齢以上の落ち着きがあると評される。

興味深いのは、歌うときの彼の「腹の据わり方」だ。声を客席へ届けるその姿には、現場で培われた肝の太さがにじむ。芝居で身につけた表現の引き出しと、歌で培った発信力。二つは別々のものではなく、互いを補強し合っているように見える。

舞台と二・五次元、複数の世界を行き来する

草川拓弥の活動領域は、テレビドラマにとどまらない。舞台俳優として劇場に立ち、近年隆盛を見せる二・五次元の作品にも関わってきた。生身の身体を観客の前にさらす舞台は、ごまかしのきかない世界である。

複数のジャンルを行き来する表現者は珍しくないが、そのどれもで「本物」と受け取られる者は多くない。彼の場合、グループのファンも、舞台のファンも、演技のファンも、それぞれが見ている「草川拓弥」を、衣装でも仮面でもない本人だと感じている。この器用さと誠実さの両立こそが、彼の強みだといえる。

落差という魅力

普段の彼は、ニコニコと人懐っこい東京育ちの青年だという。けれど、ステージに乗った瞬間、その顔つきはスッと変わる。柔らかな日常の表情から、鋭く張り詰めた表現者の顔へ――この落差こそが、多くの観客の心を掴む。

人を惹きつける表現者には、しばしばこうした「切り替え」の鮮やかさがある。オフのときの親しみやすさがあるからこそ、オンのときの集中が際立つ。草川拓弥の魅力は、その振れ幅の大きさにあるのかもしれない。

子役から始まり、歌い、舞台に立ち、ドラマで芝居をする。これだけ幅広く活動していながら、彼にはまだ伸びしろが残っているように見える。一つの道を究めるのも立派だが、複数の世界をまたいで、そのどれもで本物であり続けることもまた、容易なことではない。

四つの入口から愛される男、草川拓弥。次はどの扉の向こうで、新しい彼に出会うことになるのだろうか。