言葉を濁さない男――足立康史という政治家の手触り

京都大学を出た頭脳が、なぜわざわざ自分から火種に飛び込んでいくのか。足立康史を見ていると、つい親戚のおっちゃんに向けるような口調で「もうちょっと穏便にいかれへんのか」と言いたくなる瞬間がある。
それでいて、目を離せない。国会の質問でも、インターネット上の発信でも、彼は言葉を濁さない。賛否は割れるが、少なくとも「何を考えているのか分からない政治家」ではない。1965年10月14日、大阪府に生まれたこの男は、エリートの経歴と泥くさい語り口を同居させたまま、政治の世界に立っている。
茨木の高校から京都大学へ
足立康史は大阪府泉大津市に生まれ、茨木市で育った。大阪府立茨木高等学校から京都大学工学部に進み、大学院で修士を得たのち、1990年に通商産業省に入った。関西の進学校から京大という道は、誰の目にも分かりやすいエリートコースだ。
ただ、経歴の華やかさと本人の佇まいは、必ずしも一致しない。学歴だけを見れば「いかにも頭の切れる人」という像が浮かぶが、彼の言葉には妙な泥くささが残っている。そのギャップこそが、足立康史という人物の最初の手触りだ。
政治家としての立ち位置
経済産業省で21年間働いたのち、2012年に日本維新の会から衆議院議員に初当選し、大阪9区で4期務めた。2024年には党の機関紙頒布をめぐる発信が党批判とされて党員資格停止6カ月の処分を受け、衆院選への不出馬を表明。2025年に国民民主党から参議院議員に当選した。
確実に言えるのは、彼が「言葉を選んで角を丸める」タイプではないということだ。国会という場でも、ネットという場でも、思っていることを正面からぶつける。スマートに濁す政治家が多いなかで、その姿勢は良くも悪くも目立つ。
ズバズバ言う、その代償と魅力
ズバズバ言ってしまう人には、当然ながら敵が増える。見ているこちら側がヒヤヒヤするほど、足立康史は自分から論争の渦に踏み込んでいく。国会で他党を「あほ」と罵るなどして、懲罰動議を何度も出されている。穏便に立ち回ればいいのに、と思わせる場面は一度や二度ではない。
しかし、見方を変えれば、これほど分かりやすい政治家もいない。ええ格好をして言葉を濁すより、思っていることを正面からぶつけてくる方が、有権者にとっては判断しやすい。賛成も反対も、はっきり対象が見えるからこそできる。
引かない頑固さ
こうだと思ったら一歩も引かない――そんな頑固さは、政治の場では一つの個性として機能する。
敵に回せば厄介で、味方に付けば頼もしい。足立康史はおそらく、そのどちらの顔も持っている。公式サイトやインスタグラム、Xのアカウントもある。
京都大学を出たキレッキレの頭脳に、消えない泥くささが同居している。足立康史を「憎めない」と感じる人がいるとすれば、その理由はおそらくここにある。
ええ格好をしない。言葉を濁さない。その不器用さが武器にも弱点にもなる政治家を、これからも目で追ってしまうのだろう。