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一人で劇団まるごと――関智一、声で何役兼ねるのか

関智一(声優・俳優)の写真

アニメを観ていて、クールな二枚目に痺れた次の作品で、今度はちょっと抜けたコメディ役に笑わされる。やがて気づくのだ。これ、同じ人の声なのか、と。耳だけ聞いていれば別人としか思えない――その正体は、関智一。

東京・江東区に生まれ、声優の枠を軽々と越えて活動を広げてきた表現者である。声優にして俳優、歌手、ラジオパーソナリティ、ナレーター。一人で何役兼ねているのかとツッコミたくなる多才ぶりで、長いキャリアを重ねた今もなお、新しい役でこちらを驚かせ続けている。

江東区から始まったキャリア

関智一は1972年9月8日、東京都江東区に生まれた。星座は乙女座、干支は子。下町情緒の残る江東の地から、やがて声の世界へと足を踏み入れていく。

デビューのきっかけや活動の起点について、本人は多くを語っていない。だが結果として彼は、声優という職業の幅そのものを押し広げてきた人物の一人になった。生い立ちや学歴の詳細は公にされていないものの、残された膨大な仕事が、その歩みを何よりも雄弁に物語っている。

声色ひとつで別人になる

関智一を語るうえで欠かせないのが、その振れ幅の大きさだ。冷静沈着なクールキャラから、どこか抜けたコメディ役、さらには血のたぎる熱血漢まで――声色を切り替えるだけで、パッと別人になってしまう。

これは演じ分けというより、もはや変身に近い。同じ喉から生まれているとは思えないほど、それぞれの役が独立した人格として立ち上がる。観る者は、声だけでその人物の体温や性格までも感じ取ってしまう。彼の芝居は、声優という仕事が持つ可能性を体現している。

一人で何役兼ねる、という生き方

関智一の肩書きは一つではない。声優、俳優、歌手、ラジオパーソナリティ、ナレーター――活動の領域は実に幅広い。

一つの場所にとどまることをよしとせず、声を軸にしながら表現の場を次々と広げていく。舞台で身体を使い、歌で旋律を届け、マイクの前でリスナーと語り合う。声優という出発点から、ここまで活動を多面的に展開できる人は決して多くない。彼は「声の人」であると同時に、「表現する人」そのものなのだ。

業界そのものを盛り上げる存在として

2022年、関智一は声優アワードで「インフルエンサー賞」を受賞した。これは個々の演技の巧拙だけでなく、業界そのものを盛り上げ、外へと広げてきた功績に対して贈られる賞である。

ただ上手いだけの人なら他にもいるかもしれない。だが、自らの活動を通じて声優という職業の魅力を世に伝え、後進や周囲をも巻き込んで盛り上げていく――その役割を担えるのは限られた人だけだ。この受賞は、関智一が単なる名手を超えた存在であることを静かに示している。

すでにベテラン中のベテランと呼ばれる位置にいながら、彼はいまだに新しい役でこちらを驚かせてくる。長く第一線にいることと、挑戦をやめないことを、両立させてみせる稀有な表現者だ。

声優、俳優、歌手、語り手――その全部を一人で背負って、なお飄々と前へ進んでいく。一人で劇団まるごとのような男。その芝居を同じ時代に聞けることを、素直に楽しみたい。