スーツの中の真顔――駒木根葵汰が背負った「変なヒーロー」

子ども向けの戦隊ヒーローという仕事は、見た目以上に過酷だ。週末の朝、テレビの前に座る子どもたちに、嘘のない夢を届けなければならない。気取りも照れもいらない。ただ、まっすぐ正面から「正義」を立たせること。それができる若手は、実はそう多くない。
駒木根葵汰は、その大役を真正面から引き受けた俳優だ。2000年生まれ。「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」で主役・桃太郎を演じ、ブラウン管の向こうの子どもたちにヒーローの姿を焼きつけた。
2000年生まれ、世紀の変わり目に
駒木根葵汰は2000年、日本に生まれた。出身地や所属事務所、学歴といった私的なプロフィールの多くは公開されていない。手がかりは少ないが、世紀の変わり目に生を受けた世代の俳優として、二十代の前半に大きな転機を迎えることになる。
公開された情報の少なさは、逆に言えば、彼が「作品」と「役」で語られてきた俳優であることを示している。プライベートの話題ではなく、画面の中でどう立つか――それが彼の評価軸だ。
桃太郎を、真顔で演じる
彼の名を広めたのは、スーパー戦隊シリーズ「暴太郎戦隊ドンブラザーズ」の主役・桃太郎だ。戦隊ヒーローの主役は、若手俳優にとって大きな試練であり、同時に大きなチャンスでもある。
しかもドンブラザーズは、シリーズの中でも飛び抜けて風変わりで、ひとくせもふたくせもある作品として知られる。つかみどころのない、不思議な桃太郎を、カメラに目配せすることなく真顔で演じきる――それは生半可な度胸ではできない芸当だ。彼はその難役を、最後まで崩さずに立たせてみせた。
「イケメン枠」で終わらせない覚悟
端正な顔立ちは、ともすれば「イケメン枠」という安易なラベルを呼び込む。だが、奇妙で扱いの難しい役を真顔で演じきった彼の仕事ぶりには、その枠に収まるつもりはないという意志がにじむ。
スッと背筋の伸びた立ち姿は、ヒーローを演じさせれば確かに様になる。見た目の良さに頼るのではなく、役の難しさそのものに正面から取り組む――そういう姿勢こそ、彼の本質に近いのではないか。
戦隊ヒーローという入口から世に出る俳優を、私は昔から贔屓にしている。スーツの中で試される度胸と、画面越しに夢を届ける責任。その両方を、駒木根葵汰は若くして引き受けた。
まだ二十代前半、登り坂のとば口にいる。彼の最良の姿は、きっとまだ現れていない。次にどんな顔を見せてくれるのか――楽しみに待っていたい。