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あの声は、どこから来るのか——Toshl、館山から世界を震わせた喉

Toshl(歌手・ソングライター)の写真

人間の喉から、こんな声が出るのか――X JAPANのあの高音を初めて聴いた人の多くが、そう驚いたはずだ。1965年10月10日、千葉県館山市に生まれたToshlは、X JAPANのボーカリストとして世界中のファンを震わせてきた。だが彼の歩んできた道は、決してまっすぐではなかった。

館山から

Toshlは千葉県館山市に生まれた。本名は出山利三。

千葉県立安房高等学校で学んだのち、彼が選んだのは音楽の道だった。やがて彼の歌声は、地方の一人の若者のものから、国境を越えて鳴り響くものへと変わっていく。人生に何が起こるかは、誰にもわからない。館山の少年が、世界を震わせる声の持ち主になるなど、当時は誰も想像しなかっただろう。

嵐を歌う声

X JAPANのボーカルとしてのToshlの声は、二つの顔を持っている。

一つは、「Endless Rain」のようなバラードで聴く者の涙を誘う、せつないほどに伸びやかな歌声。もう一つは、Yoshikiの猛烈なスピードメタルの音の壁を、軽々と越えていく圧倒的なシャウト。静と動、その両極を一つの喉で行き来できる歌い手は、そういない。だからこそ彼の歌は、何度でも人の心を揺さぶる。

迷子になった時間

1997年末、ToshlはX JAPANを脱退する。その前後から、MASAYAが率いる団体ホームオブハートに深く関わり、以後12年にわたって音楽活動をその指導者に握られた。のちに本人は「洗脳されていた」と語っている。2010年1月、彼は記者会見を開いてホームオブハートから離れたことを発表した。

声に恵まれた人が、その声から遠ざかってしまう。それがどれほど苦しいことだったか、外からは計り知れない。しかし彼は、その暗がりからもう一度ステージへと戻ってきた。2007年にはX JAPANが再結成され、再びマイクを握り、あの歌声を取り戻したのだ。

また、歌うために戻ってくる

色々なことがあっても、結局またマイクを握って歌う。Toshlのその姿には、不器用なまでの真っ直ぐさがある。

完璧に立ち回るタイプではないのかもしれない。だが、回り道をしてでも歌う場所へ戻ってくるその一途さこそが、ファンが彼を応援したくなる理由だ。挫折も、迷いも、すべて抱えたうえで、それでも歌う。その姿は、聴く者に「もう一度やってみよう」と思わせる力を持っている。

館山から出てきた一人の青年が、世界中のファンを涙させる声の持ち主になる。人生というのは、本当に何があるかわからない。

何度つまずいても、結局またステージに立ち、あの澄んだ高音を響かせる。Toshlの歌は、声の美しさだけでなく、その不器用な歩みごと愛されている。だからこそ、彼がまたマイクを握るたびに、私たちは少しだけ救われた気持ちになるのだ。